【山百チャレンジ42座目 権現岳】南八ヶ岳主峰の大展望地を越え、八ヶ岳信仰の中心へ

こんにちは! 

 山梨百名山チャレンジ担当、店長の綾井です。  


前回まで中低山が二座続きましたが、42座目として向かったのは

夏山シーズンらしく、森林限界を越えた高山となります!

権現岳(ごんげんだけ)は、八ヶ岳南部に位置する標高2,715mの山です。


岩場が多く荒々しい印象のある南八ヶ岳らしく、森林限界を越えた山頂部は

大きな岩峰となっていて、高山の雰囲気を味わえる山となっています。

権現岳はその名前の通り、古くから信仰の対象となってきました。

山頂の南側すぐ下には石の祠があり、檜峰神社や八ヶ岳権現と呼ばれています。


中世には、修験道の霊場となっており、登山道沿いにはその歴史を感じさせる石碑や石祠がいくつも確認でき、岩峰のてっぺんには鉄の鉾(ほこ)が立てられています。


5月に登った網笠山の北側にあり、網笠山から権現岳はコースタイムにして約1時間半と

とても近い場所に位置します。


穏やかな山容の網笠山に対して、岩峰の権現岳

この近い距離で全く違う雰囲気の山を縦走できるのも魅力の一つですね。

網笠山へ行った際には、権現岳への縦走を計画していましたが

強風のため断念しました。


そしてまた権現岳を目指すにあたって、網笠山からではなく

天女山から三ツ頭経由で権現岳山頂に至るコースをセレクト。


このルートは登りだけでコースタイム4時間越えと、そこそこ長いルートにはなるんですが

三ツ頭からの景色がほんとおすすめなんです!


ぜひ登山レポをご覧ください。


登山レポ①

天女山駐車場ー天ノ河原ー前三ツ頭

2023年9月5日に登る

やってまいりました天女山駐車場。

この駐車場から権現岳の反対側にあるトイレ方向へ行くと、天女山という山があります。


駐車場には早朝五時につきましたが、霧雨のような濃い霧が辺りを覆っています。

せっかく来たんだからと、40分程だらだらと待機してからスタートです。


八ヶ岳山麓の清々しい森は明るく、夏でも暑さを感じにくい場所ですが

霧雨降る濃いガスの中では、ただただ蒸し暑く暗い森になってしまいます。


この日は天気予報も良かったので、好転すると信じて進みます。

花の種類は分かりませんが、濡れた状態でも健気に咲く花が唯一の癒し。

登り始めて15分ほどで「天の河原」に到着。


ここからは南アルプスの山々を見ることができて、絶好の休憩スポットなんですが

こんな天気だったのでもちろんスルー。

ようやく霧雨も終わり、蒸し暑かったので半袖半パンスタイルに。

そうなればびしょ濡れのササで、足もとはずぶ濡れ状態になっちゃうよね😭


この時は登山気分も乗らず、全身びしょ濡れ状態だったので、帰ろうかとさえ思いましたが

山梨百名山チャレンジの企画のために踏みとどまり、進んでいきます。


登山だけで無いとは思いますが、大好きな登山であっても

今日は気分じゃない!と、登る気分じゃなければ計画していても行かない事もしばしば。


皆さんは無理のない範囲で登山を楽しみましょうね(笑)

また出てきたベンチのおいてある休憩スポットも無視して、先へと進んでいくと

濃いガスの隙間から急に日が差し込んできて、ガスもだんだんと薄く移ろい始めました。


これは三ツ頭に着いた時には晴れているか!?と、あれだけ行く行かないと

ウジウジ自問自答していたことを忘れて、テンションが上がってきた分かり易い男です😂

登山口の標高が約1500mだったので、約500m登って来ました。

晴れてきてテンションが高くなったとはいえ、三ツ頭までは森の中の急登が続き

心身共に削られる、なかなかハードなルートです。

有毒植物として有名なトリカブト


トリカブトの毒は、フグのテトロドトキシンに次ぐ猛毒だそうですが

登山者にとっては秋の訪れを感じさせる、美しい花に変わりありません。

前三ツ頭にさえ出れば、あとは楽しい稜線闊歩と分かってはいますが

この区間はやっぱりしんどかったですね~。

出ました、「ここが一番きつい」看板。

ここまで3km強の短い道のりなんですが、標高は700mアップと急登が続き

本当にここが一番きつく感じるでしょう。


登山道上に個人の方が標柱やサインを残すことはあまり好きではない私ですが

こういう励ます系の看板は、きつい山に一個は欲しいですね(笑)


「もう少しで前三ツ頭が見える」のとおり

一番きつい場所をさらに進んでいけば、、

南アルプス北部の主峰たちがお目見えです!👏


甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、鳳凰山と南アルプスオールスターたちが見えていますが

いつもズームで撮ってしまうのが、大好きな北岳📸


山梨百名山チャレンジでは小太郎山と一緒に登りましたが

残る間ノ岳農鳥岳に向かう時に、また改めて訪れる山になります。

雨上がりにガスが晴れ、雲上にだけ姿を現す高峰を見ながら登る

こりゃ~笑顔が止まりませんよ(笑)


無理して登って正解でしたね😏

進行方向に前三ツ頭が見えてきました!

「前三ツ頭まであと10分 ガンバレ」by調布市

ありがとう調布市、なんで調布市の看板があるか知らんけど🙄


調布市のおかげで前三ツ頭までペースが上がります!

前三ツ頭(2361m)に到着です!

完全に晴れて、更に先の三ツ頭も見えるようになりました。


だらだら登り続けていたので、ここで大休止を取ります。

贅沢にシャインマスカットをいただきます!

高級果物ですが山梨に住んでいれば、時々いただけるので

行動食としてよく持っていきました。


シャインマスカットは糖分と水分を同時に摂れる激うま行動食🍇

これほど山梨県民であることの有難みを感じたことはありません🙏

シャインマスカットを食べたら、次なる目標は三ツ頭

そして山頂の権現岳です!


稜線に上がって風が強く吹いてきたので、衣服調整をしてから向かいました。



登山レポ②

前三ツ頭ー三ツ頭ー権現岳ー天女山駐車場

前三ツ頭を後にし、吹きさらしの稜線を進みます。


三ツ頭からは森林限界前後の標高帯に入るので、権現岳山頂まで樹林帯に入ったり

また開けた稜線に出たりを繰り返します。

分かり易いペイントがありましたが、視界不良時は要注意ですね。

一旦右の樹林帯へ入っていきます。

標高と天気がそもそも違いますが、登り始めの暗い森に比べ

前三ツ頭を越えてからは、明るく気持ちのいい森になります。


やっぱり山って晴れてなんぼ🙄

また開けた場所に出ると、今度は権現岳のお隣さん

網笠山が出てきました~!


網笠山を見下ろす標高まで来ましたね、三ツ頭も間もなくです。

三ツ頭(2,580m)に到着です!


待ってましたっ、、!!👏

権現岳、赤岳、阿弥陀岳、南八ヶ岳の雄々しい岩峰TOP3の共演です!


これぞ三ツ頭ルートのハイライト、ここからの景色はいつ見ても感動させられます。


八ヶ岳の主峰、赤岳


鋭く天に突き上げるその姿は、主峰の名に恥じない迫力ある立派な佇まい。

そして本山行の目的地である、権現岳


南側から見る山頂はオベリスクのように岩峰だけが鋭利に飛び出していて

得も言われぬ恐ろしい雰囲気を放っています。

こちらも赤岳に負けず、修験の山として納得の佇まいでしょう。

三ツ頭からはまた標高を下げて、そして最後の山頂アタックとなる登りが始まります。


気合を入れて山頂を見つめ(かっこつけすぎ笑)、いざ参らん権現岳!🔥

天気もまだ持ってくれてます。


はやる気持ちを抑えながらも、ガスがまた上がってくる前に山頂には着きたい!

一度鞍部に下りるのですが、このコースを行く人の8割が思うのが

「結構落とすな~。帰りの登り返しが嫌だな~」です。多分。

鞍部まで下りればまた樹林帯へ。


ここも三ツ頭前後と同じように樹林帯と展望地の繰り返しです。

展望地に出てから振り返れば

先ほどまでいた三ツ頭。


少し離れて違う角度からみると、また印象が変わって来ますね。

ここで岩場の登りが出てきます。

ステップはしっかりあるので、難しい岩場ではありません。

岩場を越えれば、ハイマツ帯へ突入。


アルプスや八ヶ岳は標高差が大きく、登山口から山頂に至るまで

グラデーションのように景色や植生が変わっていきます。


とりわけハイマツ帯への突入が、山頂に近づいている証拠なので

一番テンションが上がりますね~。

ハイマツの次は再び岩場と、山頂直下は岩場やガレ場が連続するセクション。

足も疲れてきたので、鎖を使って体を持ち上げる方が楽かも。

山頂まであと僅か。

網笠山もだいぶ近づいてきました。

山頂直下の登山道上にミヤマシャジンの群生を発見。

つくづく後半パートで楽しませてくれるね~権現岳。

山頂の岩峰発見!

檜峯神社に手を合わせて、岩峰を回り込むように行けば

目的の山頂標識のある場所です!


序盤の苦しみがあったからこそ、この日の頂は特別でした。

権現岳(2,715m)に登頂です!

結局前三ツ頭手前からずっと笑顔の絶えない山行となりました。


山梨百名山標柱の有るのは権現岳山頂直下の平らな場所なので

岩峰の上から展望をみるために、最後の岩場に臨みます。


山頂にある鉄の鉾は、もう少し上で刺さっていた記憶があるのですが

やや下に横たわる形で置かれていました。


さてこの場所からの展望を目に焼き付けましょう。

赤岳方面はガスって見えなかったものの、権現岳からすぐの場所にある

ギボシがよく見えます。


ギボシは積雪期にナイフリッジのような稜線を進んで

山頂に立ったことがあり、思い入れの強い好きな山の一つです。

続いて富士山、三ツ頭方面です。

富士山は綺麗には見えなかったけど、この日登った三ツ頭を遥か見下げるかたちで

登った人にとってはとても気持ちのいい景色ですね。


すぐ手前の岩峰が気になるという事で、、

馬鹿と煙と登山者は高いところが好きって言いますもんね。


山頂の横にあるもう一つの岩峰も座り心地がよさそうだと

わざわざ移動してみます(笑)

富士山とツーショット📸

見える景色は変わりませんが、山頂を最後まで余すことなく

楽しみ尽くしました~🙌


何度も訪れている権現岳ですが、登った時はだいたい晴れてくれている

とても相性がいいお山。

網笠山からの縦走も、赤岳からキレットを越えるのも、そして天女山からのこのルートも

毎度素晴らしい景色を見せてくれました。


今回に至っては序盤ではガスって後半ピーカンとツンデレっぷり。

またツンツンされないように、今年も権現岳に会いに行かないとね。



権現岳 登山まとめ

【今回の山行記録】

山行時間:06:49

距離:10.4
km

上り
1,290
m
下り
1,286
m


【標準コースタイム(目安) 7時間20分】 

天女山駐車場ー0:20ー天ノ河原ー2:25ー前三ツ頭ー0:35ー三ツ頭ー0:50ー権現岳

権現岳ー0:45ー三ツ頭ー0:25ー前三ツ頭ー1:45ー天ノ河原ー0:15ー天女山駐車場

登り:4時間10分 下り:3時間10分


【アクセス(天女山駐車場)】 

・車

中央道長坂ICから県道28号、620号経由で天女山駐車場まで約12km。 

駐車場(無料)は約20台収容。

冬季は天女山入り口ゲートが閉まるため、ゲート脇の駐車スペースを利用。

・公共交通機関

JR小海線甲斐大泉駅からタクシーで約10分、約1600円。

出来るだけ事前に予約して利用する。
甲斐大泉駅から歩くと約1時間20分。


【アドバイス】

コースタイムは7時間20分と日帰りも可能な山だが、早出早着を心掛けて余裕を持った山行計画をたてましょう。

三ツ頭経由の天女山コース上に山小屋は無く、天女山方面へ2分くらい歩いた場所にある公衆トイレを利用してから登りたい。


前三ツ頭までは危険個所の無い樹林帯の登りだが、前三ツ頭に近づくほど斜度が急になる。

権現岳を往復する場合は、ここでペース配分を間違えて疲れすぎないようにしたい。


前三ツ頭からは所々吹きさらしになる稜線になるので、アルプスなどの高山と同じような装備で臨む。

山頂直下の岩場やザレ場は難易度は高くないが、手を使って慎重に登ろう。

特に帰路は足に疲れも出やすく、より慎重に。