【山百チャレンジ33座目 北岳】白峰に咲く花と我が心の山【北岳/小太郎山 前編】

こんにちは!山百チャレンジ担当の綾井です。


今回紹介する山は僕にとって特別な山で、最も好きな山といえます。

その山からは山の美しさ、そして厳しさを教えられ、我が心の山として無くてはならない一座です。


北岳(きただけ)は、長野県、山梨県、静岡県に跨って連なる長大な赤石山脈(南アルプス)のなかでも、最も標高の高い3,193mの山です。

それもそのはず、3,193mという標高は富士山に次いで日本第二位の標高になります。


そんな北岳は稜線からのダイナミックな展望はもちろんのこと

北岳バットレスと呼ばれる大岩壁、白や黄色で稜線を覆う高山植物のお花畑、夏まで残る雪渓とヤマトイワナなどが生息する渓谷など


登山者を惹きつける雄大な自然が残されており、南アルプスの盟主と呼ばれるに値する山といえるでしょう。



私がエルクに勤める前、北岳の稜線上にある北岳肩の小屋で2シーズンバイトをした経験があります。


北岳どころか山の何たるかも分からないまま働かせていただき、多くの経験をさせていただきました。

当時の思い出話を書き出したら、それだけでブログになってしまうくらいなので割愛しますが

北岳で過ごした事できっかけで、甲府に移住しエルクで働く事となったといえます。


そんな訳で今回のブログ

北岳愛にあふれる文章になっております

北岳にデレデレの僕に、ぜひお付き合いいただければ幸いです(笑)

標高の高さだけでなく、多くの登山者を魅了する北岳は「南アルプスの盟主」と呼ばれ、南アルプスの中でも随一の人気を誇ります。


北岳の稜線は南に間ノ岳、農鳥岳と続き、この三山を合わせて白峰三山(しらねさんざん)と呼ばれます。


北岳の名前の由来は、その白峰の連山の北側に位置する山だからという、いたって単純な理由。

👆地図画像 南アルプスNETより引用

北岳へ登るには広河原という登山口から

白根御池小屋経由の草すべりコースを行くか

大樺沢コースから大樺沢二股を経て、右俣コースと左俣コースに分かれます。


2022年から広河原ー大樺沢二俣までの大樺沢ルートが通行止めとなり

今回行った時は白根御池小屋経由の草すべりコースで登りました。


昨年(2023年)の記事になりますが、コースについてまとめたブログもありますので、気になる方はこちらをご覧ください。

それではここからお待ちかねの登山レポート本編、どうぞご覧ください!


【登山レポ①】

ただいま!今年も帰ってきたよ~!

2023年6月23日に登る

広河原ー白根御池小屋ー小太郎分岐ー北岳肩の小屋(泊)

北岳の開山日は、例年6月の第四金曜日。

毎年この開山日には休みを取って北岳に行かなければ気が済まない僕は、もちろん2023年の山百チャレンジでも開山日にやってきました。


ここ芦安駐車場からバスorタクシーに乗って、登山口の広河原に向かいます。

今回は北岳肩の小屋に泊まるので、時間のゆとりはありますが

夏山は朝一番で登りたいので、5:15発のバスに乗って出発です!

広河原に到着し、トイレなど済ませ向かう準備をします。


開山日の朝一番、登山者の皆さんがそわそわしながら用意するのを横目に

今年も夏山シーズンが始まったな~と、じわじわ実感が湧いてきました。

それでは行っきましょ~!👉

お久しぶり、北岳!🙌


広河原から林道を少し歩けば、北岳が姿を現します。

今年も雪が少ないですね~😮‍💨

林道から北岳の標識通りに進めば、橋が出てきます。

ここを渡れば登山道が北岳山頂に繋がります。

ぐずついた空模様でしたが、朝から北岳が顔を出してくれて超ご機嫌です(笑)

登山道に入ってすぐ、この広河原の森も個人的に推しポイント。


広河原の標高は約1550mで、山地帯と亜高山帯の境界領域に位置します。

ブナやカツラなどの落葉広葉樹と、コメツガなどの針葉樹が混在する原生林が広がります。

大樺沢コースは通行止めですが、まずはこの分岐まで登ります。

大樺沢が通れる時は、大樺沢コースから右俣コースで登るルートが好きでよく使ってました。


この分岐までで暑くなってきた方は、衣服調整するといいでしょう。

ここからは急登が続きますよ~💦

まずは白根御池小屋(しらねおいけごや)目指して、頑張って登っていきます!

気になっている方がいるかもしれませんので、言及しておくと

バックパックに挟まっている大きな荷物は、この日お世話になる肩の小屋のスタッフさんへのお土産です。


この年はメロン×2!🍈🍈

重ければ重いほど喜んでくれると思い込んでいるので、年々お土産が大きくなってしまいます(笑)

白根御池小屋までに、ベンチなどが置いてある休憩スポットが2回出てきます。


ちなみにおにぎりはアルミホイルで巻いて持っていく派🙄

おにぎりパワーで小屋までの急登をこなしてしていきます!


このルートはステップの大きい木段が多く出てくるので、ハードに感じると思います。

傾斜が緩くなれば、御池小屋まであとはトラバース道が続きます。

ここまで来れば最初のハードパートを乗り越えたようなもの。

この日は暑く、登るにつれ一枚脱ぎ、また一枚脱ぎと、気が付けばTシャツで汗だくになっていました。

明るく開けたところに出れば

白根御池小屋(2235 m)に到着です!


広河原から北岳山頂までの行程で、ここ白根御池小屋で1/3といったところでしょうか。


白根御池小屋ではトイレがあるだけでなく、水分補給や軽食も取ることができるので

ここで大休止と行きましょう!

さてここからは草すべりルート、名前から容易に連想できるとおり、急登が長く続く難関パートです!

ちなみに白根御池小屋から大樺沢二俣まで行く事ができるので、左俣ルートで登ることも可能です。

草すべりは雪崩の巣になる場所で、その影響か大きな木は無く裸地の斜面を登っていきます。

そのお陰で

振り返れば鳳凰三山の山を見ることができますよ~👏

疲れたら振り返って山を見ながら呼吸を整え、そしてまた登りましょう!

雪解けが早く、草すべりコースも高山植物の花たちをよく見ることができました。

草すべりの急登から九十九折に変わっても、まだまだ登りが続きます。


それでも一歩一歩上がっていくにつれ、小屋に近づいていると心が躍り

足が軽快に上がってくれます。

時刻は間もなく午前10時。

朝見えていた北岳山頂もガスが上がってきて、隠れてしまいました。


夏山では朝の9~10時頃にはガスが湧いて、真っ白になってしまう事が多いです。

なので北岳日帰りで行っても、なかなか展望が望めないことが多いので

小屋泊orテント泊を強くお勧めします!

鳳凰三山だけガスがかからず綺麗に見えるのも、北岳登山あるある😅

また開けた場所に出れば、二股からのルートと合流する分岐点。


ここから更にもうひと踏ん張り登れば、お待ちかねの北岳稜線(小太郎尾根)に出ます。

この頃には心躍るどころか、舞い上がってしまいそうなほど気持ちが高ぶってきました。


北岳が好きという事だけでなく、早く山小屋の人たちに会いたいという気持ちが強く

故郷に久しぶりに帰るような感覚に近いかもしれません。

ここまで黄色いお花(キンポウゲやキンバイなど)が目立ちましたが

先ほどの分岐から小太郎尾根に出るまでの間で、サンカヨウを見ることができました。


別名スケルトンフラワー、この花は雨に濡れると白い花が透明になる珍しい花です。

小太郎尾根直下の斜面では例年7月まで雪が残りますが

雪の量は少なかったので、軽アイゼンすら必要なかったです

北岳の主稜線。小太郎尾根に間もなく乗ります!

この尾根に乗れば仙丈ケ岳甲斐駒ヶ岳がドカーンっと目の前に現れるのですが

濃霧に包まれては仕方ありません。


稜線に出たところが「小太郎山分岐」になり、北岳山頂方面と小太郎山方面の分岐となっています。

小太郎山も山梨百名山になるので、次の日に登ります!

稜線上ではイワウメやハクサンイチゲなど、開山日とは思えないほど多くの花が見ごろを迎えていました。


例年雪が少なく開花が早まっているので、梅雨時期とは被りますが開山日~7月中旬に多くの花の最盛期を迎えます。

小太郎尾根は肩の小屋まで可憐な花たちが道を彩り

展望だけでなく足もとも見ながら楽しめる道となっています🌼

危険というほどではないですが、やはり3000m級の稜線

岩場も時折出てきますよ。


更にこの尾根を歩いているときは、注意して"アレ"を探しながら歩きます

特にガスッているときに遭遇率の高い…

ライチョウさんです!


厳しい冬も耐えてよく生き残ってくれました

今年も会えて本当にうれしいよ!😭

近年の保護活動の成果もありライチョウの個体数は増えてきているものの

40年前には今とは比べ物にならないほど、多くのライチョウがこの北岳稜線に生息していました。


この年も無事に生き残って、2024年も会えますようにと🙏

僕にはできる事なんて大して有りませんが、遠くで見守りながら先に進みました。

やっぱり大好き小太郎尾根!👍


思い出補正はありますが、こんな濃霧の中でも満面の笑みでニヤニヤしながら歩けます(笑)

そうこうしているうちに、北岳肩の小屋はもうすぐです!

ただいま~!👋

北岳肩の小屋に到着です!

北岳の肩、山頂直下の標高3000mにあり、北岳の山頂を頭としたら

この小屋はまさに肩に当たる場所に位置します。


標高3000mの過酷な稜線上にあるので、泊まらない登山者にとっても安心感を与えてくれる

貴重な山小屋の一つでしょう。

お土産を無事に渡し、小屋のご主人に2023年にフルリニューアルとなった小屋を案内してくれました。

綺麗に区画されパーソナルスペースを確保した寝所、広く過ごしやすくなった食事処、新築の木の香り、可愛いオリジナルグッズの販売など

今までの肩の小屋じゃない🫣

語弊を恐れずに言うと北アルプスの小屋みたい。


よく通好みといわれる南アルプスの各山小屋も、最近は感染症対策やご飯のリニューアルなど

あらゆる登山者が快適に過ごせるように変わってきましたね。

前の渋い感じも好きだったけど!😂

濃霧に包まれているので、山頂は明日にして

この日は温かい小屋で過ごすことにしました。



【登山レポ②】

高嶺に咲く白い花

北岳肩の小屋(泊)-北岳山頂ーキタダケソウ群生地ー北岳山頂ー北岳肩の小屋


疲れと寝不足、そしてお昼に小屋でいただいたカレーライスが追い打ちになり

すっかり夕方まで小屋で寝てしまい、外の空気を吸いに出たところ

これですよこれ、夕方の大逆転勝利👏

あれだけ濃かったガスも日の入り前には下界に吸い込まれるように消え

空に高く突き上げる高峰が軒並み姿を現しました。

外に出ていた人たちと喜びを分かち合いながら過ごしていると

このゴールデンタイムはあっという間に終わってしまいました。


ダイナミックに移り変わる空模様は、小屋で過ごしているときに何度も見てきましたが

何度でも見たいし、これからもこの景色を見にこの場所に帰るのでしょう。


夜は小屋で思い出話に花を咲かせ、小屋の人たちとご飯を食べ

いい気分で(酔っぱらって?)寝ることができました。

明日からの山行に向けて、元気を充填させていただきました!

翌朝、肩の小屋の脇から登山道に出て山頂へ向かいます。


この日の予定は北岳山頂と、山頂を越えた先に咲くキタダケソウを見に行きます。

キタダケソウは、北岳にだけ自生している高山植物です。

氷河期からの生き残りの絶滅危惧植物で、とても貴重な植物といえます。


キタダケソウは例年6月下旬に他の花に先駆けて花期を迎えますが

キタダケソウも例にもれず小雪の影響があり、近年はバス開通前に最盛期になる年が多くなりました。

毎年開山日に北岳へ行くのは、小屋の人たちへの挨拶と、キタダケソウの花を見たいからなんですよね。

小屋からは3000mを越える標高帯、小屋で休めたからといっても

少し動いては呼吸が乱れ、距離の割に疲れるハードな区間になります。


斜度が急でガレている道になるので、落石を起こさないように慎重に登ります。

両俣分岐(両俣小屋方面の道は現在通行止め)を越え

間ノ岳が見える角度へと回り込めば

北岳山頂が目の前に!🫢

高さ第一位の富士山と、第二位の北岳の共演です

山頂直下の道は岩石帯、足もとに気を付けながら、山頂へ向かいましょう!

北岳(3,193m)に到着です!

小屋から30分ほどの所要時間となりました。


この山頂を50回以上踏んでいると思いますが、何度来ても嬉しいですね~🥹

お地蔵さんにもご挨拶ができました。


北岳山頂は広く休憩するのにも適していますが

次なる目標のキタダケソウを確認したく、間ノ岳方向へとまた歩を進めました。

先に見える大きな山体が「間ノ岳(あいのだけ)」、そして鞍部に小さく見えるのが北岳山荘になります。


間ノ岳も山梨百名山ですが、それはまた季節を変えて行く予定だったので

今回はキタダケソウの群生地まで下りる事とします。


キタダケソウの群生地の詳細な場所は一応控えておきますが、ネットで調べればすぐに出てくるでしょう。

分からない方は直接ならお伝えしますので、お気軽にお問い合わせください。


さてそんなキタダケソウですが、今年も見ることがきましたっ!

見頃はやや過ぎて、枯れている花も多かったですが

今年も可憐なキタダケソウに会えて感謝です🙏


2024年も暖冬の影響を受けて、開山日には最盛期を終えているかもしれません。

キタダケソウの花を見るためには、開山日もしくは最初の週末の予定を空けておく方が良いですよ。

👆写真 ハクサンイチゲ

ちなみにキタダケソウにとても似ているのがハクサンイチゲ。

葉で見分けると分かり易いでしょう。


キタダケソウの葉はパセリのようにぐちゃぐちゃしてるのに対し

ハクサンイチゲは尖った葉をしています🤔

間ノ岳、そしてキタダケソウはここで見納め。

また北岳山頂へ登り返し、また肩の小屋へ戻ります。

キタダケソウ、ライチョウに会うことができて、さらに肩の小屋も満喫し

そして北岳山頂も無事に踏むことができました!

北岳最高です!🙌


以上「北岳/小太郎山 前編」の登山レポートでした。

後編では、次なる山「小太郎山」へと縦走のレポートとなります。


登山口へのアクセスや登山情報などのまとめは

後編の最後にまとめておりますので、後編もぜひご覧ください!

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