【山百チャレンジ24座目 八紘嶺】山を埋め尽くすシロヤシオのトンネルを進む、独り稜線闊歩【山伏/八紘嶺 後編】

西日影沢ルートを登る楽しさ、山伏山頂のパノラマと、山伏までは100点満点の登山から、続いて向かうのは八紘嶺です。


山伏/八紘嶺 前編はこちら👇

山伏の前編でも書いたように、5月下旬に八紘嶺に向かった理由は「シロヤシオ」です。


山梨の山では、あまり自生していないシロヤシオですが、八紘嶺の稜線上では、その白く可憐な花に会うことができます。

ちなみに同じ山域の十枚山もシロヤシオで有名ですね。

今回の後編では山伏山頂から八紘嶺までの稜線歩き、そして登山開始をした黄金の湯までの山行を記します。


最後にまとめて、山伏、八紘嶺の登山情報まとめや立ち寄りスポットも掲載しております。

それでは早速ですが登山レポート本編をどうぞご覧ください!


【登山レポ③】
大崩壊地を越え大谷嶺へ

山伏(08:37)-新窪乗越(09:39)-大谷嶺(10:11)

山伏山頂からは八紘嶺まで稜線歩きが始まります。


黄金の湯から山伏、山伏から八紘嶺、八紘嶺から黄金の湯、距離にすればちょうど3等分できますが、山伏から八紘嶺の縦走こそこの登山のハイライトといえるでしょう。

そんな縦走の始まりは、開けた山伏山頂からすぐに樹林帯へと移り変わります。

山伏への長い登りに比べれば、縦走歩きはほんと天国。


緩やかな登りと下りの連続で、息も上がらずいいペースで進むことができます。

苔を観賞したり

たまに開ける展望を楽しんだりと、山伏からは下り基調なので、体力と心の余裕も出できましたね(笑)

前編で書いた山伏までの西日影沢ルート、冒険的なこのルートの楽しさを味わってからの、快適な尾根歩きとなり、この区間は終始ご機嫌でした。


一人ぶつぶつ「オクシズさいこうっ🥹」

と呟きながら歩きます。


そんな感じでニヤニヤ歩いていたら、突如視界に白いものが飛び込んできます。

八紘嶺山頂近くで出会えると思っていましたが、山伏から歩きだして1時間も経たずにシロヤシオに会えました!🫢

ツツジにも当たり年と外れ年があるみたいですが、今年は当たりじゃないでしょうか。


お目当ての場所の前にこの群生を見れるんですから、この先はどうなっちゃうの~😆

シロヤシオだけでなくミツバツツジもこの稜線には多く自生していて、紫に白と咲き揃っていました。


今年は花の開花が早いので間に合うか心配していましたが、むしろ大当たりの日だったようです👏

シロヤシオにその先にある「大谷嶺(おおやれい)」が見えてきました。


八紘嶺までの稜線で最も顕著なピークで、大規模崩壊地の大谷崩(おおやくずれ)を抱えます。


実は行くまで大谷嶺の存在は全く知りませんでしたが、その迫力ある山容は僕にとってサプライズでした。

新窪乗越に到着。


ここは大谷嶺の手前であり大谷崩れの沢を詰め上がった峠の場所になっています。

この大崩壊地は上から見下ろしても迫力がありますが、下から見たらもっと迫力あるんでしょうね~。

崩壊地ですがこの大谷嶺、登山道にもなっています。


この崩壊地は1707年の宝永地震によって生じたとされていて、崩れた土砂は東京ドームおよそ100杯分!

日本三大崩れのひとつで(そんなのあるんだ)、標高約2,000mの大谷嶺から800m崩れています。

大谷嶺に向けて歩き出します!


最初はまさかの稜線の淵、崩れ側に道が付けられていました。

道幅は十分あって危なくはないのですが、足を踏み外せば800mも転がり落ちていくと思えば少し怖いですよね…😱


それでもこの崩壊地の脇を通れるという事で、怖さ半分楽しさ半分といったところですが

するとすぐに崩れとは反対側の斜面に道が続くようになってきました。


この道はこの道で…

イワカガミなど花が出迎えてくれました。

もう、どんだけ楽しませてくれんのよ、、お腹いっぱいだよ!


からの間近に見る荒々しい大谷嶺の山容を見渡した時に

本日二度目の「オクシズさいこうっ🥹」が出ました。

やばい、今回の登山が楽しすぎるっっ!!


ここにきて登りが続きますが、こんなに楽しいもんだから足が進む進む💨

大谷嶺までに偽ピークがありましたが、そんなの無問題。


すこぶるご機嫌さんで登っていきます!

そんなこんなで、大谷嶺(2,000m)に到着です!

大谷嶺から振り返り山伏方面の景色です。真ん中右の大きいピークが山伏です。


雲が上がってきてすべての山が見えるわけでは無かったですが、歩いてきたこの稜線の景色を見れてよかった。

山梨百名山ではない途中のピークまでですが、こんなに楽しめるとは、、

さあここから八紘嶺へと歩き出します!


【登山レポ④】
シロヤシオの稜線を歩き八紘嶺へ

大谷嶺(10:22)-八紘嶺(11:31)-休憩-富士見台(12:33)-八紘嶺安倍峠登山口(13:21)-梅ヶ島温泉バス停(13:29)-黄金の湯(14:05)

八紘嶺、この山行のフィナーレに相応しいなんと美しい山名でしょうか。


由来として「八紘一宇」を真っ先にイメージする方が多いのではないでしょうか。この言葉は戦時中に侵略を正当化するために日本で用いられた言葉で、名前に罪は無いもののいいイメージではないでしょう。


というよりも「八方が俯瞰できる嶺」という説が正しいのだと思います。

由来はともかく、力強さを感じるこの山名は山梨百名山の中でもお気に入りの名前です。

縦走途中に少し道を外し、八紘嶺の姿をようやく捉えることができました。

上写真右奥の山が八紘嶺です。


山行後半になり雲が湧いてきて、間もなく山に覆いかぶさろうとしています。

急ぎます!

八紘嶺に近づくと、またもシロヤシオの群生が出てきました。


急ぎたいのはやまやまでしたが、この時期だけしか楽しめないシロヤシオの花観賞はするでしょ~😆

山梨の山域では珍しいシロヤシオ、山梨県内では天子山地や南部の山、道志のエリアに自生しています。

八紘嶺稜線の群生も素晴らしく、シロヤシオの花のトンネルとなっていました。


僕自身登山を始めてから花に興味が湧いてきたのがここ最近で、可憐な高山植物に心を奪われつつありますが、シロヤシオもお気に入りの花となりました。


それがこのお気に入りの山で咲くもんだから、年に一回は行かなくっちゃ。

八紘嶺山頂まではトラバース道があったりしますが、特に危険と感じるほどではありません。

山頂直下まで来ればガスに巻かれてしまいましたが、気が付けば登山口から既に14kmも歩き続けていました。


今まで楽しくて疲れを感じず来れましたが、山頂直下の登りになってどっと体が重くなってきました。

もうひと踏ん張りです!🔥

見えましたね、長い旅のクライマックスです。

八紘嶺(1,918m)に到着です!


この日の長い行程に不安がありましたが、無事に最後のピークにたどり着くことができました。

歩き出してから山伏山頂、そして八紘嶺に至るまでとても濃い内容でした。


この感動はここまで読んでいただいた方にはわかっていただけるはず。

いい山に登ったというよりもいい旅をした、そんな感覚を覚えながら山頂で休憩を取りました。


さて残りは下って行くだけとはいえ、まだ7km近く歩かなければなりません。

感傷にずっと浸りたいと思いながらも、下山を開始します。

下山中も白と紫のトンネルをくぐっているかのような、富士見台と呼ばれる稜線上のポイントまではシロヤシオとミツバツツジの群生が見事でした。


お花が目当てなら八紘嶺単独でも十分に満足できると思いますよ。

展望スポットである富士見台を越えれば、梅ヶ島温泉に向けて稜線から外れ一気に下って行きます。

上と下、それぞれ八紘嶺登山口となっていて林道が横切っていますが、下の梅ヶ島温泉からゲートが閉まっている為、結局は歩いてアクセスしなければいけません。


二度目の林道に出れば、梅ヶ島温泉まではあと僅かです。

「たばこの吸いがらは必ず土の中にうめよう」

時代を感じる文言ですね~(笑)

秘湯、梅ヶ島温泉に下りてきました。


梅ヶ島温泉郷には安部川沿いに、コンヤ温泉や新田温泉(登山開始場所の黄金の湯など)などがありますが、安倍川の最上流部に位置し八紘嶺登山口に最も近いのが梅ヶ島温泉です。

ここのお湯に入ってみたいですが、まだ3kmも歩かなければなりません、、


バスもあるようですが、最後の道路区間を歩き通せば、ぐるっと周回登山になるので進みます!

この道路歩きも、この日の山行の思い出を噛み締めながら進めばあっという間でした。

道中振り返れば、八紘嶺へと繋がる稜線を最後に見ることができました。

黄金の湯から山伏、そして八紘嶺までぐるっと約20kmの旅、これにて終了です。


山伏、八紘嶺ともにそれぞれピストンで登ることもできるし、山伏はより山頂に近い登山口もあります。

それでも縦走で挑戦したからこそ、静かな尾根歩きも、予期せぬ大谷嶺との出会いも、シロヤシオのトンネルをくぐる体験も、ひとり静かにこの山で体感することができる幸せな時間でした。


また来年来ることになりそう、その時は大谷崩れでも登ろうかな。


山伏 八紘嶺 立ち寄りスポット

何といっても登山口が梅ヶ島温泉郷、どこから登っても温泉が近いエリアです。

今回は登山レポート本編でも触れている、駐車場利用させてもらった温泉で疲れを癒してきました。

黄金(こがね)の湯

今回の山行で車を止めさせてもらったのが黄金の湯の駐車場です。

テラスにはお洒落なソファーや、館内にはハンモックが有ったりと、綺麗でリラックスして長居できる施設になっています。

肝心の温泉は、無色透明でとろっとしているお湯が特徴で、山間部の温泉らしくついつい長湯してしまういい温泉です。


このエリアの温泉は他にもいくつかあるので、次来たときは別の温泉にも行ってみたいですね~。


山伏 八紘嶺 登山情報まとめ

【今回の山行記録】

山行時間:09:23 距離:20.8 km

登り:1,877 m 下り:1,866 m

【標準コースタイム(目安) 12時間05分】

黄金の湯ー1:15ー山伏登山口ー1:40ー蓬峠ー1:40-山伏山頂

山伏ー1:30ー新窪乗越ー0:45ー大谷嶺ー1:50ー八紘嶺

八紘嶺ー0:55ー富士見台ー1:40ー八紘嶺安倍峠登山口ー0:10ー梅ヶ島温泉バス停ー0:40ー黄金の湯


【アクセス(梅ヶ島新田温泉 黄金の湯)】

・車

新東名高速道路 新静岡IC. より約50分。新静岡IC.の出口交差点を左折。

県道29号線を道なりに北上する。


・公共交通機関

JR静岡駅より しずてつジャストラインで約1時間40分。

静岡駅前(北口側)バス乗り場 9番から【安倍線 梅ケ島温泉行き】を乗車。

「新田温泉 黄金の湯」バス停下車


【アドバイス】

山伏と八紘嶺を周回縦走する本山行のプランは、コースタイム12時間越えと日帰り山行では体力のある方にしかおススメ出来ないコースとなる。

チャレンジされる場合は必ず早出を心掛けて、最低限のビバーク用ギアを携行したい。

山伏は百畳平から、八紘嶺は梅ヶ島温泉から登るのが最短ルート。

ピークハントだけであるならば、それぞれ車で最短の登山口へアクセスする方が楽に登ることができる。


山伏の西日影沢ルートは渡渉区間がいくつかあり、水量が多い日は要注意。普段は飛び石で足を濡らさずに渡ることができるが、降雨後は危険となる。

蓬峠に上がる前に水分も補給をしておきたい。縦走路に入れば補給箇所は無し。


山伏山頂まで、そして八紘嶺の縦走路にもいくつか通行注意箇所あり。

崩壊地の縁やキレットなどを通る箇所があり、縦走の場合は体力だけでなく長い時間集中力が必要となる。


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活用方法はジオグラフィカなどで活用していただけます。

続いての山行記録はこちら👇