本日7月16日に、関東甲信地方の梅雨明けが発表されました!
昨年は7月末まで続く長雨の影響で、なかなか山に行きにくかったですが、今年の夏山シーズンは幸先がよさそうです。
そんな梅雨明け間近の今週火曜日に、エルクスタッフで南アルプスの北岳へ登りに行くことになりました。
この山行の大きな目的として、今季からリリースされたテントのテストをすることでした。
テストしたテントは「ALTO(アルト)TR1」。
こちらのテントをリリースしたのはオーストラリアの”シートゥサミット”(以下STS)、名の如く「海から山頂まで」使える幅広いギアを揃える、世界的にも支持を集めるアウトドアメーカーです。
STSはインナーシーツの製造から始まり、近年では性能の高いシュラフやマットも高い評価を受けています。
何を隠そう今回のテストを行ったスタッフ綾井は、マットもシュラフもインナーシーツもSTSの愛用者。
テントまで揃えることによって、STSでの山岳用キャンプギアセットが完成したといっても過言ではありません。
さて新作テントの話題に戻りましょう。
STSからリリースされたのは軽量さ重視の「アルトTRテント」と
快適さ重視の「テロスTRテント」シリーズの2種類。
その2種類のテントから対応人数、インナーテントのの素材を選ぶことができます。
今回僕が使用したのは「アルトTR1」なので、軽い半自立式で一人向けのメッシュインナーテントというわけです。
アルトとテロスでは少し仕様が違うところがありますが、共通する特徴が多いので
合わせてこの新作テントの特徴や、気になるポイント、モデルの選び方など
使ったうえでの感想も交えて、紹介させていただきます!
軽量ながら広い上部空間と豊富な収納ポケット
上の写真はテロスTR3のテント本体です。
エルクスタッフまるちゃんに座らせてみれば、手を伸ばしても天井に届かない高さとなっています。
テロスTR3の室内高はなんと123cm!
総重量が約2.2kgのドーム型テントであると考えると、これほど広さを感じさせるテントはなかなかございません。
では最も軽いモデルとなるアルトTR1(総重量約1.2kg)ではどうかというと
さすがに手を上げれば天井に着くものの、天井高は105cmと高い設定になっています。
高いというよりもせりあがっているので、余計に広く感じるというわけです。
ポイントは上方向にせりあがっている「テンションリッジ」。
テント本体をこのテンションリッジに接続することによって
圧迫感の少ない広い上部空間を確保しています。
テント内部では寝るだけでなく座る姿勢の場面も多いですよね。
上部空間にゆとりがあれば、雨によってテント内に居なければならないときでも
ストレスが少なく過ごすことができますね。
ちなみにアルトTR1はタテの長さも215cmと、他の山岳向け一人用テントに比べても少し長く
特徴的なのは真四角のフロアになっていないという事です。
この変形した形によって、小物を置く程度のスペースが脇に生まれ
手の届く範囲にヘッドランプや水などを置いておくことができます。
他にもランタンを吊り下げることができるループや
ポールの収納袋を天井に取り付け…
ヘッドライトを入れればポールバッグは便利なランタンに早変わり。
スナップボタンで最上部に取付可能です。
よく考えられていますね~。
実はほかの収納袋も…
このようにスナップボタンで取り付けることができるので
設営後も小物の整理に一役買ってくれます。
使えるものは何でも活用する執念を感じます(笑)
内部空間の話でさらに特筆すべき特徴としては前室の広さでしょう。
上の写真はテロスTR3ですが、バーナーに靴に水筒、そして大型ザックを置いても入口を塞がない余裕の広さ。
アルトTR1でも前室は58cmもせり出しているので、これもまた同様のサイズの山岳向けテントと比べれば広い設定になっています。
内部空間の話だけではありませんが、STSのテントシリーズはアイデアや工夫によって
既存のテントにあったらいいなと思う事をプラスし、もう少し広ければいいなと思うところを広くし
痒い所に手が届くテントとなっています。
後出メーカーであるからこそ、多くのテントを研究したのでしょう。
ユーザーからすればこの姿勢でモノづくりをするメーカーにとても好感が持てます。
多彩な設営モード
アルトTR、テロスTRテントの設営手順はどちらも
①本体を広げ
②ポールを組み立て差し込み
③テントをポールにかけていき
④フライシートを接続して
⑤ペグダウンをして完成
という手順です。
ポールをテントに挿入するタイプのスリーブ式ではなく、吊り下げ式と呼ばれるタイプの設営手順です。
これによってテントが完成するのですが、このフルプロテクションの状態を
「クラシックモード」とSTSは名付けています。
感のいい方はもうお気づきでしょう。STSのテントは多彩なモードチェンジができる
男心を鷲掴みにする機能を備えています。
夜空に散らばる星を眺めながら寝ることができる「パーシャルフライモード」。
フライを巻き上げて固定することができるので、雨が降れば素早くクラシックモードに移行ができるのもポイントです。
パーシャルフライモードで星空を眺めるには、インナーテントはメッシュタイプがおすすめです。
昼はご覧の通り晴れていれば眩しいです(笑)
しかし星空の為だけでなく、昼はパーシャルフライモードで通気性を最大限に高めることができます。
換気性能に優れていると言えども、このモードが一番換気できますからね。
続いてはテロスTRシリーズのみモードチェンジが可能な「ハングアウトモード」。
テロスシリーズ最大の売りといえるポイントです。
トレッキングポール2本、もしくは別売りのハングアウトモードポールセットを使用し、フライシートをセミオープンシェルターにできる画期的なシステム。
ハングアウトモードなら二人分のチェアを並べてテーブルを置くスペースを作ることができます。
テロスハングアウトポールセットは、超軽量DAC社製NSLポールで重量は2本で135g。
延ばせば125cmと小さなタープのサブポールとしても使えそう。
これだけ軽くてDAC社製で¥2,970 (税込)。単体でも売れそうな予感。
他にもフライだけ設営する「フライオンリーモード」での設営も可能です。
多彩な設営方法があるというのは、あらゆる場面で使える汎用性があるという事。
山岳テントとして、キャンプ場で使うオープンシェルターとしてなど
いろんな場面でご活用ください。
モジュラーストレージシステム
テント本体とフライ、そしてポールバッグが別々の収納袋となっている
「モジュラーストレージシステム」
これによって複数人パーティでのテント泊山行でも、仲間と荷物の均等配分できるようになっています。
それだけでなくそれぞれをしっかりと固定して一つの筒のように持ち運びができるので
バックパックに入りきらないときは、外付けで持ち運びがしやすいようになっています。
また夜露や雨で濡れたフライをテント本体と一緒に収納しなくてもいいので
2泊以上の山行でもテント本体を濡らさず持ち運びできますね。
選ぶポイント
いいテントだと分かったところで、アルトTRテントとテロスTRテント
さらにはそれぞれの大きさやインナーの素材違いで計8モデルもあるので
どのモデルを選ぶかが悩むポイントですよね。
まず最初の選択肢ともいえるのがアルトTRかテロスTRか…
ずばり山岳での使用を考えれば軽量なアルト!という訳でもないんですよね(笑)
アルトTRは半自立式とよばれる自立式よりもポールが少なく、その分軽くなるが
設営の手間を要し(ペグダウンしなければ自立しない)、耐風性も劣ります。
とはいえ手間といってもペグダウンするポイントが少し増えただけで、結局は自立式でもペグダウンはするしガイラインも張る場面も多いです。
要は慣れの問題になってきますが、そこまで半自立式だからといって安直に使いづらいという判断にはならないでしょう。
アルトTR2の総重量は1,447g、対してテロスTR2の総重量は1,764gです。
テントだけに限らず他のギアにも言えることですが、快適さと軽量さは反比例します。
自分がどこまで背負えるかを考えて検討してみてください。
とはいえ自分は山岳メインで使うので、軽量さ重視でアルトをセレクトしました。
続いて考えるのがインナー素材がメッシュタイプかファブリックタイプか。
メッシュインナーは通気性に優れますが、冬に使えばそのぶん寒い素材となります。
より長いシーズン、例えば秋の涸沢であるとか、標高の低い場所での冬キャンプなどでの使用を考えているならば
ファブリックインナーがおすすめになります。
このファブリックインナーは一般的な山岳テントでもよく使われている素材ですよね。
夏の使用を考えても、アルプスなどの標高の高い場所で使用する場合はファブリックインナーのほうが安心感があります。
とはいえメッシュインナーの軽さと、パーシャルフライモード(星空見るモード)を使ってみたくて
山岳メインでの使用でもメッシュインナーを選んだのが僕です。(笑)
アルプスだけでなく標高の低い場所でも使うだろうし、冬は冬のテントを持ってるし、夏のキャンプ場でも使いたいし…などなど悩みましたがメッシュインナーをセレクトしましたね。
ご自身の使用シーンをよく想定して、お選びいただければと思います!
あとは対応人数による大きさの違いですが、ずばり軽量化したい人は使用人数と同じ大きさ(一人で使うなら1人用)をお選びください。
一人で使う場合でも快適に使うために2人用のテントを選ばれる方が多いですが
前室の広さや多彩な収納ポケットなどを考えれば、十分な大きさかなと思います。
荷物の置き場が不安な方は別売りで「ギアロフト」を付けることができるので
サイズアップするよりはこちらを購入していただくのがベターかな。
「こんなテントがあったらいいのに」
そんな願いを叶えるような全く新しい軽量テントシリーズの「アルトTRテント」と「テロスTRテント」の紹介でした。
既存のアウトドアメーカーとはまた一線を画すアイデアが詰め込まれていながら
パーツやつくり、素材は本格的なスペックとなっているので
テント初心者の方から経験者の方まで、いろんな方におすすめできるテントシリーズとなります。
この夏のキャンプや、テント泊山行の相棒として、ぜひご検討頂ければと思います。
STSの新作テントを実際にご覧いただけるポップアップを開催いたします!
実際に中に入って広さをご確認していただけ、ご希望のお客様には設営方法や
いろいろな設営モードのご説明をさせていただきます。
テントだけでなくスタッフが愛用している超軽量シュラフ「スパークSp」シリーズや
圧倒的な寝心地と軽さの「イーサーライトXT」シリーズ、
そしてサーモライトリアクターなどの小屋泊でも使えるインナーシーツなどなど
STSのスリーピングギアを中心に展示販売しておりますので
テントでなくとも、小屋泊で必要なアイテムもぜひご覧にお越しください。
そしてこの夏は山やアウトドアで目いっぱい遊びましょう!
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