3月より本格的にエルクで取り扱いを開始したブランドがあります。
それは2008年にアメリカの冒険家によって設立された
『SEEK OUTSIDE シークアウトサイド』
シークアウトサイドはキャンプの為のブランドというよりも
アラスカや北極圏など、過酷な環境で冒険をするためのギアを作るブランドで
バックパッキングに持っていけるほどの、超軽量ティピーテントや薪ストーブなどが代表的です。
近年冬季でもキャンプをされる方が増えたなかで、エルクでは重量級の薪ストーブとティピーテントを提案するより
軽量でパッキングが可能なモノを探しておりました。
取扱い開始にあたっては、日本の正規輸入販売元である会社様にお声がけしたところ
正規輸入販売店(Riml Outdoor様)のオンラインストアを除けば、日本で初の正規販売店となることができました。
つまり買う前に実物が見れる販売店は、今のところエルクだけという事になります。
早速取り扱いを始めるにあたって、僕たちが実際に使っていなきゃお客様にお伝え出来ないだろうと
先日雪がまだ残るキャンプ場でティピーテントと薪ストーブを使ってキャンプしてきました。
使ったのは「シマロン」と「チタンストーブ Mサイズ」。
今回はそれらの商品を中心に、シークアウトサイドの製品をご紹介していきましょう!
ティピーテント シマロン Cimarron
こちらがシークアウトサイドの「シマロン」というモデルです。
シマロンはレッドクリフと並び、ブランドの代表的なモデルで
「世界で一番になった冒険家が愛用しているティピーテント」
という宣伝文句がなかなか強烈。
世界で一番になった冒険家というのはSEEK OUTSIDEの公式アンバサダーを務めるデイブとエイミーフリーマン。
世界を旅する屈指の冒険家として、アマゾンから北極圏まで過酷な環境の野生地帯をカヤック、カヌー、犬ぞりなどを駆使して30,000マイル(48,280㎞)以上を旅してきました。
その功績をたたえられ、ナショナルジオグラフィック誌によるアドベンチャー・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。
さて話を戻しましょう。
そんなシマロン(4人用)とレッドクリフ(6人用)が、ティピーテントの代表的なモデルであり
エルクで取り扱っているテントでもあります。
シマロンは4人用ということですが、薪ストーブをインストールする場合は二人が限界です。
体感としては薪ストーブを使わなくても、荷物など中にしまう場合は
1~2人までに適した大きさかなという印象です。
同様に6人用のレッドクリフも、6人寝ることができるのですが
薪ストーブや荷物の事を考えると、2~4人での使用に適しています。
設営については、本体をペグダウンして付属のテントポールを突っ込んで立ち上げるだけです。
慣れれば5分もかからない作業でしょう。
ティピーテントの構造上、中心は立てるほどの高さがありますが
隅に行くほど高さが制限されます。
今回使用して思ったのは、コットを使う場合は高さの低いコットとの相性がいいという事です。
帰ってから改めてコットを入れてみましたが、ハイコットでは寝た時に圧迫感を感じます。
幕の外側にループが付いているので、ガイラインを利用して内部空間を広くすることができます。
ガイラインは標準装備ではないので、別で用意する必要があります。
総重量はメーカー公式で1.6kg。
テント本体と収納袋で実測1.4kgでした。これにカーボン製のポールとペグが付属します。
5本で構成されるカーボンポールは、実測で293g。
軽量ながら細すぎず、風が吹くコンディションでも心配なく使うことができました。
ちなみにポールやテント本体にはランタンフックとなるパーツはございません。
上の写真はプルージックコードをロープに巻いている写真ですが
メーカー公式として、テントポールにロープをプルージックノットで固定する方法で
引っかけるところをつくるのを推奨しています。
プルージックノットはクライミングやキャンプシーンでも便利な結び方なので
気になる方は店頭でスタッフがお教えしますね。
フックがあればもちろん便利なのですが、それより軽量化を優先しているのがシークアウトサイドというブランドです。
このテントを買う方はランタンは置き、ないしはヘッドランプのみという冒険家気分でいかがでしょうか。
続いてはストーブジャックについて。
フラップ付きとなっていて、使う際はメクリ上げた状態で固定
使わないときは閉じて使用することができます。
いくら軽量化をしているテントとはいえ、高温となるストーブと干渉する部分ですので
耐熱・耐火性については問題ない素材を採用しています。
続いては生地について。
本体の生地はコーデュラのシルナイロンを採用。元祖UL素材として軽量で扱いやすく、いまなお信頼が高い生地です。
また摩耗や引き裂き強度が高いのも特徴ですね。
上のメーカー公式説明画像のように、両面シリコンコーティングによって
防水性と強度を高めています。
長年使用しているテントやタープで、コーティングがはがれベトべトになった経験はありませんか?
PUコーティングを採用しているテントは、どうしてもその現象の発生が早い印象ですね。
アメリカのコロラド州の工場で、一点一点ハンドメイドでつくられています。
担当した職人の名前が記載されており、信頼性の高さがうかがえます。
さて僕がずっと気になっていたのが、薪ストーブを併用することによって
火花が煙突から飛び散ったりした場合、シルナイロン生地のこのテントに
穴が開かないのかという心配です。
これについてはまだ一回だけの使用という事もありますが、穴あきの発生は無かったです。
これはテントの生地が火に強いというわけではなく、使用したシークアウトサイドの薪ストーブでは火花が煙突口から飛びでなかったということでしょう。
(上写真:付属品よりもさらに強力に火花の発生を防止するスパークアレスター)
焚き火をする場合は少し離れたところでした方がいいと思いますが
スパークアレスター(火の粉・火花防止)が付いている薪ストーブに関しては、問題はなさそうですね。
薪ストーブと併用する場合、もう一つ気になるところが一酸化炭素中毒について。
これを防ぐには換気と正しい薪ストーブの使用が大事です。
シークアウトサイドのティピーテントは上部に換気口があるのと
前後の入り口にはメッシュライナーも取り付けられています。
定期的な換気と、正しい焚き付けをすれば基本的には中での使用は大丈夫です。
気になる方は一酸化炭素チェッカーのご利用をおすすめいたします。
続いて収納袋について。
こういった軽量ギアは入れることができるギリギリの大きさの収納袋を採用することによって
その製品を小さくコンパクトに(見せようとする)するモノが多いです。
しかしシマロンについては、余裕で収納できる大きさで
しかもちゃんと畳まなくて、シュラフをしまうように押し込んでいくだけで収納することができます。
これによって撤収がとても楽になっています。これがほんと嬉しいポイント。
シマロン・レッドクリフともに、どうしても付きまとう問題が結露です。
その日の天候や生地の性質や防水加工が施されている点、薪ストーブの使用など様々な要因がありますが
使用してみると朝にはしっかりと結露が発生していました。
(今回はナンガのオーロラライトを使用。防水シュラフなので大丈夫でした)
防水のシュラフカバーや防水シュラフの使用が望ましいですが
そうでない場合は、寝るときは天幕に触れない位置で寝ることをおすすめします。
別売りとなるシークアウトサイド社のテントアクセサリーについてもご説明いたします!
夏などの虫が出る時期に欲しい「インナーテント ハーフネスト」。
これはシマロンとレッドクリフのどちらのテントにも対応し、大人二人がゆったり寝ることができるスペースがあります。
結露の発生を抑制する「インナーライナー/ハーフライナー」。
ライナーは保温効果も上げるので、冬の使用にとても適しています。
シマロン、レッドクリフともにオリーブカラーもあり、ブラウンとオリーブの二色展開となっています。
どちらが人気というより、どちらも人気なカラーです。
チタンストーブ Mサイズ
続いて紹介するのは、シマロンやレッドクリフと合わせて使用していただきたい
超軽量薪ストーブのチタンストーブです。
Mサイズは一番小さなモデルで、組み立て時の大きさは幅20cm×奥行26cm×高さ20cm。
一般的に売っている薪の長さは、30cm~40cmとなっているものが多いので
短く切る必要があります。
ちなみにエルクでは短めの薪も売っていて、これがチタンストーブMサイズにちょうどいい大きさ。
他のサイズはLサイズとSXLサイズがあり
Lサイズ:幅20cm×奥行36cm×高さ20cm (組立時の高さ30cm)
SXLサイズ:幅26cm×奥行36cm×高さ21cm (組立時の高さ30cm)
とより大きいサイズのものもございます。
軽量化重視ならMサイズ、薪を割りたくない人はLサイズがおすすめですね。
収納状態ではとても薄くコンパクトになっています。
収納袋はテント同様に余裕のあるサイズ感。
しかしティピーテントと比べて、このチタンストーブは設営の手間が少しあります。
まずは本体の組み立てですが、上下左右前後で分かれているパーツをはめ合わせます。
上の写真は後と左右のパーツを付けた状態。ここは慣れればすぐですね。
しかし複数回の使用で、高温によるパーツの歪みが起こりえるでしょう。
歪んだ場合取り付けに苦労するかもしれませんが、割り切って使用しましょう。
そして足となる4つのパーツを通して、上下それぞれをネジ止めします。
ここが少し手間になるんですが、使う前に上下どちらかのネジを付けておけば
組み立て時は一方のネジどめだけで済みますよ。
本体を組み立てたら、煙突口となるダンパーを差し込みます。
次にストーブパイプを組み立てて差せばいいのですが
ここも少し一苦労します。
丸めていたストーブパイプを開いて、縦長になるように丸めていきます。
クセが付いていれば丸めやすいのですが、はじめは二人で丸めたほうが
キレに丸めることができますよ。
雑にするとチタン製のストーブパイプにへこみが発生します。
キレイに丸めて付属のパイプリングで固定すれば完成!
ストーブジャックから先端を出して、ストーブ本体に差し込めば
ティピーテントへのインストールが完成します。
重量は公式で1.3kg、実測で1.24kg。
チタン製の薪ストーブは(限られているものの)市場にいくつかありますが、
これほどの軽量設計となっている薪ストーブは他に知りません。
ティピーテントシマロンと合わせて3kg未満の組み合わせは、他の製品に無い大きなアドバンテージといえるでしょう。
燃焼効率については、ごめんなさい。この手の薪ストーブについて比較した事は無いので
シークアウトサイドのチタンストーブが優れているか否かは判断できず。
しかし小型の薪を中に入れて、固形燃料を一つ入れて放置していただけですが
着火もスムーズでしっかりと燃え続けてくれました。
専用の小窓の開閉とダンパーを使って、空気の流入を調節し火力の調節を行えます。
薪入れ口の引き戸を開けっぱなしにすれば、一番空気を取り込んでくれますが
すぐに燃え尽きてしまいそうだったので、薪を入れたら閉めるようにしました。
続いて別売りのアクセサリーについてご紹介です。
ティピーテントの時にも説明した、付属しているスパークアレスタ(火花止め)付きダンパーよりも強力に火の粉を防ぐ「スパークアレスターウルトラ」をはじめ
※3/12追記 スパークアレスターウルトラはチタンストーブMサイズと規格が合わず、Lサイズのストーブにご利用いただけます。
煙突への雪や雨の侵入を防ぐ「スノー・レインキャップ」
ストーブが雪や地面に沈まないように取り付ける「ユティリティープレート」
今回の使用ではまさにユーティリティープレートの重要性を感じましたね~。
やはり雪上では薪ストーブの熱によって、下の雪を溶かしてしまうので
途中バランスを崩しそうになりました。火ばさみを挟み込んで、無理やりバランス保持していました(笑)
さて実際に使ってみて、薪ストーブはどうだったのかという事ですが
冬にこれがあれば最高ですよ、まじで。
チタンストーブを使用することによって、これほど小さくて軽い薪ストーブでも
テント内の温かさは格別で、すぐに寝つけました。
これ体験すると冬山テント泊山行が億劫になります(笑)
冬山登山で使用する場合も、樹林帯で張る場合においては
この軽さなら持っていく候補として入れてもいいのではないでしょうか。
最後の最後にお値段の方もお知らせしとかなければなりませんね…
シマロン(4人用) ¥ 89,980(税込)
レッドクリフ(6人用) ¥ 135,000(税込)
ポータブルチタンストーブ Mサイズ ¥ 57,890(税込)
ポータブルチタンストーブ Lサイズ ¥ 66,980(税込)
決して安くはなく、むしろ高い製品であるのは確かです。
テントでは両面シリコンコーティング、ストーブでは高級チタンの採用など
そもそもアメリカ本国で職人によるハンドメイドというところでは
致し方ない値段でありましょう。
今回はキャンプ場で使用した感想や、シークアウトサイド製品の大まかなご紹介でした。
せっかくの軽量性なので、冒険とまではいかなくても
バックパッキングや登山で持っていきたいな~。
そういった思いを思い巡らさせるギアっていうのが
僕たちが推していきたいモノであったりします。
しばらくはエルクの外のテラスにて展示させていただきます。
ぜひ気になる方はご覧にお越しくださいませ!
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