高柳 傑 トークイベント開催レポート
先日、OUTING PRODUCT ELK 店内にて、
山梨在住の山岳写真家・アルパインクライマー 高柳 傑(たかやなぎ すぐる)さん をお迎えし、スペシャルトークイベントを開催しました。
会場に集まったのは、登山経験者だけではありません。
写真が好きな方、冒険の話に惹かれて来てくださった方、
そして「山の世界を、もう少し深く知りたい」という方々。
その空気は、始まる前から静かに張りつめていました。
パンドラ──未踏ルートから頂へ
トークの中心となったのは、
2024年秋に挑んだ、ネパール・ヒマラヤ奥地の未踏峰「パンドラ」 への遠征。
人の踏み入った痕跡がないルート。
垂直に切り立つ岩壁。
一歩の判断が、そのまま生死に直結する世界。
高柳さんの語りは、
「すごい挑戦だった」という言葉に回収されるものではなく、
そこに至るまでの準備、迷い、決断、そして撤退も含めた
“プロセスそのもの” に重心が置かれていました。
写真に写るのは山ですが、
語られていたのは、人が極限でどう在るか、という問いでした。
写真が語る、言葉のいらない時間
会場には、高柳さん初の単独写真集
『Surface of PANDRA パンドラへ到る』 が並びました。
岩の質感、雪の重さ、光と影。
説明がなくても、ページをめくるだけで
ヒマラヤの空気が伝わってくる写真集です。
サイン会では、一冊一冊に言葉を添えながら、
来場者と静かに会話を交わす姿が印象的でした。
次なる未踏峰へ──2025年の構想
トーク後半では、
次の遠征 未踏峰「バインダーブラック・ウエストⅠ」 についても触れられました。
なぜ、まだ名前すら知られていない山を目指すのか。
なぜ、困難を承知で未踏にこだわるのか。
その答えは、
「達成」や「記録」よりも、
“山と正面から向き合うこと” にありました。
会場からの質問も多く、
聞く側もまた、この旅の一部になっていたように感じます。
Haglöfs POP UPと、場の力
本イベントは、
Haglöfs(ホグロフス)のPOP UPイベントと同時開催となりました。
装備やプロダクトの背景に、「実際に使い、命を預ける人の言葉」が重なることで、
モノと物語が自然につながる時間になりました。
エルクという場所で、語られる意味
エルクは、単に道具を選ぶ場所ではなく、山に関わる人の経験が交差する場所でありたいと考えています。
誰かの挑戦が、誰かの一歩を後押しする。
今回の高柳 傑さんのトークは、まさにその瞬間を、店内につくってくれました。
ご参加いただいた皆さま、
そして貴重な時間を共有してくださった高柳さんに、心より感謝いたします。
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