山小屋一泊後、北岳を登りキタダケソウの花に会いに行った一日目。
今回は北岳から北に延びる小太郎尾根を歩き小太郎山へ目指す、北岳/小太郎山 後編です。
前編はこちら👇
小太郎山(こたろうやま)は、北岳から北側に延びる小太郎尾根最北部のピークとなるが
メインの縦走路から外れるため、北岳に比べ訪れる登山者の少ない山となります。
そのため山梨百名山ハンターの方が、残してしまいがちな山ですよね。
そんな小太郎山は南アルプス北部の山を見渡すのに、絶好の場所に位置しています。
北に甲斐駒ヶ岳、西に仙丈ケ岳、東に鳳凰山、そして南に北岳と南ア北部オールスターを望むことができ
まさに南アルプス展望の特等席といえる山でしょう。
とはいえ、小太郎山分岐から往復で約2時間30分の行程と
ちょこっと寄っていく?にしてはそこそこ時間がかかる山になります。
また北岳メインの登山道に比べ、道が不明瞭な部分も一部あり
北岳山頂の往復よりもハードに感じるかもしれません。
前編では、北岳へ登り肩ノ小屋へ戻ってきたところで終わっていましたので
後編の登山レポートは肩ノ小屋から小太郎山へ向かい、下山するパートになります。
最後に北岳と小太郎山の登山情報もまとめておりますので
ぜひ最後までご覧くださいませ!
【登山レポ】
南ア展望の特等席へ
北岳肩ノ小屋-小太郎山分岐ー小太郎山ー小太郎山分岐ー広河原
さんざん今回の山行でもお世話になった北岳肩ノ小屋、小屋番3代目の森本千尋さんと📸
持っている手ぬぐいは新たに作った肩ノ小屋オリジナル手ぬぐいなんですが
お腹を空かせた登山者のために、夕食時にご飯をこれでもかと盛り付ける「北岳盛り」
このイラストなどが描かれたものになります。
懐かしさと、可愛いさでつい買っちゃいました😂
それでは小太郎山へめがけて進みます!
まずは小太郎山分岐まで、昨日歩いた道を戻ります。
昨日の濃霧とは打って変わって、快晴の小太郎尾根!👏
小太郎山へ進む方向の更に先に甲斐駒ヶ岳が良く見えます。
甲府や北杜市側から見る甲斐駒ヶ岳も、とてもかっこいいのですが
個人的には北岳側(南側)から見る甲斐駒ヶ岳がお気に入り。
前編でも小太郎尾根の素晴らしさを長々と書かせていただきましたが
やはり展望もある小太郎尾根が最高で~す!
景色もお花も楽しみながら歩けば、あっという間に小太郎山分岐に到着。
この稜線上の先に見えるピークが小太郎山ですが、近そうに見えながら
足を踏み入れれば地味に長いのが、この山の注意点。
小太郎山へ向かわれる場合は、時間の余裕を持って登りましょう。
それでは小太郎山まで尾根道、景色も楽しみながら行きましょう!
小太郎山分岐が2847m、そして小太郎山山頂が2725m。
アップダウンはあるものの、小太郎山までは下り基調で進むことになります。
逆に登り返す帰路がきついやつ🙄
南アルプスの女王、仙丈ケ岳も常に見えながら歩くことができます。
仙丈ケ岳編は次々回にアップしますね。
一部岩場がありますが、基本的には歩きやすい尾根道が続きます。
岩場に力強く咲くイワカガミ、そこまで珍しい花ではありませんが
岩場に咲くけなげさが好きで、初夏の山の楽しみの一つです。
分かり易い尾根道と記載しましたが、それでも不明瞭なところもあります。
ハイマツの隙間を縫って行ったり、踏み跡が少ない巻道が有ったりと
判断を迷う場面が時折出てきます。
この日のように晴れていれば、見えている小太郎山に向かってまっすぐ進んでいけばいいのですが
ガスッている時、視界が効かない時には、踏み跡やケルンなどを見逃さないように注意して進みましょう。
振り返れば北岳山頂も遠くに見えるようになりました。
北岳は南(間ノ岳側)から見れば、鋭く尖った鋭鋒の山容を見せます
北(小太郎山側)から見れば、山頂に向けてぐねっと絞り上げるようなカタチに見えます。
この点も小太郎尾根好き男(私)にとっては、ここも小太郎尾根の推しポイントです(笑)
近づいてきましたが、手前の岩が露出しているピークは前小太郎山です。
初めて登る人が見れば、この山こそは小太郎山と勘違いしてもおかしくないでしょう。
何度も登っている僕でも、向かっているときに勘違いしていました、、
ずっと景色の良い稜線を歩いてきましたが
前小太郎山の手前で、残念ながら一度樹林帯に入ります。
樹林帯からハイマツがうるさい区間を抜けて、ようやく展望復活です!
ここから更に登って行けば
前小太郎山(2,700m)に到着です!
さて、前小太郎山まで来れば、小太郎山はもうひと踏ん張り💪
小太郎山が近くに見えてきました🙌
東からガスが湧いてきましたが、山頂まで天気が持ってくれそうです。
最後まで気持ちのいい青空、それだけでなく青空とハイマツの緑がずっと美しい。
さあ、最後の登りといきましょう🔥
小太郎山(2,725m)に到着です!👏
北岳ほどではないですが、このピークも小屋勤め中に何度も踏んだピークになります。
北岳に比べ人が少なく、一人静かに登山を楽しめる、この場所も大のお気に入りの山です。
山頂直下の広場から、改めて北岳に目をやります。
美しくカーブして伸びる小太郎尾根、やはり小太郎山から見る北岳が
最もこの山の雄大さを表現していると、勝手ながら僕は思っております。
北には甲斐駒ヶ岳、そしてアサヨ峰が良く見えます。
北岳から見るよりも、低く近い位置であるため、アサヨ峰の存在が大きく見えます。
西に目をやれば、ずっと見えていた仙丈ケ岳。
こちらも仙丈ケ岳の特徴をよく表すカール地形が良く見え
やはり北岳~小太郎山の間は、仙丈ケ岳を見るのに一等の場所に違いありません。
この日小太郎山から、鳳凰山は見ることができませんでしたが
上の写真のように、東側にはこのように鳳凰山の山々
そしてそこから南側のアサヨ峰まで伸びる、早川尾根もよく見ることができます。
鳳凰山の写真は5年前のフィールドレポートから引用しました👇
東西南北、どの方角に目を向けても展望を楽しめる小太郎山。
山頂からの展望だけでなく、山頂に足跡を残せた達成感を
静かに味わうことができる山といえるでしょう。
山梨百名山ハンターだけでなく、南アルプスファンの登山者の皆様には
是非とも登ってほしい一座です👍
小太郎山分岐まで戻ってくれば、多くの登山者が北岳方面へ歩き始めていました。
またガスが湧いてきましたが、翌朝はまた快晴になる予報だったので
今登っている人たちは。次の日に素晴らしい景色を見ることができたでしょう。
北岳はいつ来ても下りるときは名残惜しい気持ちでいっぱいです。
これだけ訪れてもこの気持ちは当分変わりそうにありません。
それでも
下界の
"これ"のために急いで下山するんだよな~🍻
以上、北岳/小太郎山 後編でした!
北岳 小太郎山 登山まとめ
【今回の山行記録】
山行時間:1日目 4時間54分、2日目 9時間2分
距離:15.1km(2日間合計)
登り:2214m 下り:2221 m
※同行者のログ記録より引用
【標準コースタイム(目安) 13時間25分】
1日目 5時間10分
広河原ー2:35ー白根御池小屋ー2:00ー小太郎山分岐ー0:35ー北岳肩ノ小屋
2日目 8時間15分
北岳肩ノ小屋ー0:40ー北岳ー0:20ー吊尾根分岐ー0:25ー北岳ー0:25ー北岳肩ノ小屋ー0:25ー小太郎山分岐ー0:50ー前小太郎山ー0:20ー小太郎山
小太郎山ー1:30ー小太郎山分岐ー1:30ー白根御池小屋ー1:50ー広河原
【アクセス(広河原)】
・車
市営芦安駐車場にて車をとめて、路線バスもしくは乗合タクシーを利用。
第二駐車場がタクシー乗り場、バス乗り場に近くお勧めです。
・公共交通機関
甲府駅もしくは竜王駅から「広河原行き」の路線バスを利用。
※2023年の「広河原-甲府」路線バスの時刻表になります。
2024年は日時ともに変更となる可能性があります。👇
【アドバイス】
・山行計画について
北岳の日帰り山行は、コースタイムが約10時間と健脚の方のみチャレンジできる。
登山レポ本編では、初日に山頂に登らず肩ノ小屋で一泊し後日登ったが
同じように小太郎山を2日目で行行かれる場合は、初日のうちに北岳に登っておいた方が楽だろう。
肩ノ小屋以外にも、北岳山荘、白根御池小屋と、山中で宿泊できる小屋は3つある。
登山者の体力と行程に合わせて小屋は選んでいいが、2日目を間ノ岳に登りたい場合は北岳山荘、登山ペースに自信のない方は白根御池小屋を選ぶといいだろう。
何れにせよ北岳稜線を歩くときは、極力朝一の時間を選びたい。
・雪/コースについて
2024年の情報については、開山前の6月中には正確に発信されると思うので
各山小屋や南アルプス市などに確認をしてから決めましょう。
大樺沢左俣コースは例年7月下旬まで雪が残っていて、特に開山当初は
前爪付きのアイゼン着用が推奨される。
残雪が多い年で6月~7月に登られる場合は、草すべりコースを選んだ方が無難。
草すべりコースも早い時期には残雪がある場合が多く、軽アイゼンが必要な場合もある。
2023年までは大樺沢コースの閉鎖により、大樺沢二股に仮設トイレが設置されなかった。
トイレや補給が心配な方は、やはり白根御池小屋を経由する草すべりコースがおすすめ。
・登山道について
今回紹介したルート、広河原ー草すべりルートー北岳は、しっかりと整備されていて標識なども豊富。またシーズン中は登山者も老いので安心して登っていただける。
とはいえ稜線は3000mを越える森林限界帯になるので、疲労もたまりやすく、また天気も急変する場合が多い。
小屋泊の場合でも、早出早着を心掛けたい。
また小太郎山分岐から小太郎山までは、近年ルートは分かりやすくなってきたものの
荒天時にはルートがロストしやすい道になる。
地図はもちろん、GPSアプリなども積極的に使う事をお勧めする。
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