【山百チャレンジ32座目 鶏冠山】高度感のある岩峰を越え、山百難関峰へ

こんにちは!山百チャレンジ担当の綾井です。


今回紹介する山は、山百四天王の一つに数えられる難関峰です!

鶏冠山(とさかやま)、山頂付近に連なる岩峰がまさにニワトリのトサカのように見える鋭鋒で、山頂直下までの連続する岩場は高度感たっぷりで気の抜けない山になります。


この頂を踏むまでには岩場の登下降だけでなく、渡渉や足場の悪い尾根の急登を越えていかなければなりません。

山梨百名山四天王の一座で、登攀力が必要とされる難関峰の一つに挙げられます。

奥秩父山塊の一座で山梨市に位置し、甲武信ヶ岳と同じく西沢渓谷からアプローチする事となります。

同じく山梨百名山で、甲州市に位置する(黒川)鶏冠山は「けいかんざん」と呼び、呼称が異なります。

のっけから脅し文句を書き連ねていますが、登攀力、体力、対応力など山の総合力が求められる登山となるぶん、なんだかんだ登っていて充実感があり楽しい山なんですよね。


近年はコースマーキングが増えたり、岩場での鎖の設置等整備が進み、チャレンジのハードルは下がってきました。


行かれる方は是非この登山レポをご参考くださいませ!


【登山レポ①】

渡渉、急登、岩峰前も気の抜けないアプローチ

2023年6月20日に登る


西沢渓谷入口近くの無料駐車場からスタートです。

日の長い6月とはいえ、万全を期して早朝から動き出します🔥

まずは川沿いの林道を西沢渓谷の入り口まで歩いていきます。

この道中にもトイレが設置されているので、ここで済ませてから行くのがいいでしょう。

ここから先はトイレがございません。

山梨市の山ではお馴染みの「温絵文(ぬくえもん)」さんによる鳥瞰図が掲示されています。

きつねの絵がぬくえもんさんの目印で、乾徳山の登山口にも掲示されているので、是非チェックしてみてください✅


ちなみに今から向かう鶏冠山にも、所々にぬくえもん手作りの道標や標識がありますよー🦊

甲武信ヶ岳の登山口も通り過ぎ川へと近づいていくと、やがて吊り橋にあたります。

この橋が西沢渓谷二俣橋で、この橋の真中から上流方向へ目をやると

鶏冠山が見えるはずでしたが、今日の目的は濃い霧の中。

見えるのも怖いが、見えないのも雰囲気が増してなお怖い😨


ここまでは林道をダラダラ歩いてきましたが、気を引き締めていきましょう!

橋を渡れば、西沢渓谷の遊歩道と鶏冠山への分岐になります。

ここからは沢へと下りていきますよ。

下りて来たこの沢は東沢という沢で、沢登りでも有名です。


今日の山の付き添いは山友達のHちゃん。今後の山百ブログにもちょこちょこ登場しますよ。

沢岸をまたしばらく歩いて、鶏冠谷の合流ポイントまで向かいます。

鶏冠谷出合、東沢と鶏冠谷が合流するこのポイントが、渡渉のポイントになります。


上の写真のように対岸を注意してみれば、鶏冠谷出合の看板があるので、それを見落とさないようにしましょう。

梅雨時など水量が多い時は、膝まで浸かって渡らなければなりませんが、この日は幸運に水量は少なめ😮‍💨


飛び石を伝って渡れそうなポイントを探します。

水量少なめといっても濡れている岩を大股で伝っていくので、要注意です!


今回は無事に渡れましたが、濡れてもいい靴を別で用意して沢の中を歩いて渡るのが、一番安全で良いでしょう。

さて、ここからが本格的な登山開始ですよ~!

まずは尾根に取り付くための急登を登り

尾根に登れば後はひたすら登るだけ!

意外かもしれませんが、鶏冠山登山の8割は尾根の急登です。


ここで削られて足元がおぼつかなくならない様に、岩の山とはいえ僕は収納できるストックを積極利用します。

順調に標高を上げ、気が付けば濃いガスの山中に身を投じていました。


黙々と登るのにはこれはこれでいい条件です。

石楠花(シャクナゲ)ももう少し早い時期に来れば花が見れたんだけどね~😅


鶏冠尾根は隣接するほかの奥秩父の山と同様に、石楠花の花が見事に咲き連なります。

狭い急登を登りきり、一旦ここで小休止。

ここからは綺麗な尾根道を行くというよりは、岩がミックスの狭い尾根を登っていきます。

樹林帯とはいえ気の抜けない箇所の連続です!

岩壁の脇を縫うようなトラバース道も出てきます。


土の上でも滑りやすい箇所があり、まだまだ緊張感は抜けません。

トラバースしながらの岩場の登りをクリアしていけば、次なる目標が間もなくです。

第一岩峰のコル、ここから鶏冠山山頂まで第三までの岩峰を越えていきます。

第一岩峰のコルは平地となっていて、ここで休憩や岩登りの身支度を整えていきましょう🫡


コルからは多少の尾根歩きをして、すぐに岩場パートが始まります。


【登山レポ②】

高度感のある岩峰、鶏冠山の核心部へ

ヘルメットを装着し、ストックも収納し気合満々で歩きはじめましたが、まずは岩場の取り付きまで歩いてアプローチをします。


このアプローチも意外と長いんですよね、、早く絶景広がる岩場を登りたい!


とはいえまだ鶏冠山は深い霧の中、トサカのような岩峰群の連なりを見たいのですが。

さんざん焦らされましたが、この先からようやく鶏冠山のハイライト、岩峰群の登下降が始まります!💪

ここが第二岩峰ピーク手前にある、稜線上最初のクサリ場


10m近くある垂直に近い岩場で、ここからが鶏冠山の本番が始まるといった感じです。

この鎖場はいざ取り付いてみればホールドやスタンスが豊富で、岩場慣れしている方にとっては問題なく進めるでしょう。

とはいえ結構な高度感、難しさ以上に緊張感が走ります。

第二岩峰を越えてからの岩稜が続く景色が見たかったけど、一寸先は霧の中。


晴れ男の自負がある僕と同行者だったのですが、今回は残念な結果に終わってしまうのか!?🥲

次は第二と第三岩峰のギャップへ下りて、そこから鎖のついた岩場の登りとなるのですが、ここが一番の核心かも。

写真では見切れていますが👆の写真の岩場の最初のパートは、とっかかりの無い岩場を鎖だけを頼りに3メートルほど登る必要があります。

何度かこの岩場を通過したことがありますが、毎度ここは緊張しますね😱


慎重にスタンスを確かめながら、鎖も利用して登っていきます。

難所を乗り越えて、はいチーズ📸


集中しながら、そして楽しみながら登りましょう~!

岩場鎖場を越え、第三岩峰まで近づいてきました。

近づいたかと思えばまた樹林帯へ誘われます。


樹林帯から岩場、そして樹林帯へと、尾根の急登を越えてきたなかでこの地味なアップダウンが体にこたえるんですよね。

※上写真 以前登った際の第三岩峰の写真

第三岩峰、高度感のある岩峰登りもこれで最後なのですが、この最後の岩峰は鎖も設置されておらず10mほどのフリークライミング状態になるため、クライミングギアが必要となります。


登山中の岩場という事でなく、クライミングルートとしてみれば難しいわけではありません。

確保さえしてもらえれば登ることも可能だと思いますが、ここまでギアを持ち上げてきたわけではないので

一般登山者は迂回路を回りましょう!😤


岩峰を回り込むように樹林帯へ入っていくのですが、この道も実はなかなかで

滑りやすくとても急な斜面(感覚的には垂直に近いです)を下りていきます。


複数人パーティで行かれてる場合は、落石も怖いので先行者の安全確保ができてから下りていきましょう。

回り込んで鶏冠尾根の稜線に復帰すれば、戻るようにして第三岩峰の上、山頂へ向かいます。


反対方向へ向かうと木賊山(とくさやま)甲武信ヶ岳へと繋がります。

さあ、お待ちかねの場所へ行きましょうか!

鶏冠山(仮)に到着です!👏


なぜ(仮)なのかというと、実はまだ木賊山方向に本当の山頂(2,115mのピーク)があるんです🤔


この第三岩峰の上に山梨百名山標柱が建てられているので、山百ハンターの僕にとってはここが山頂。

なのでこんな中途半端な場所でも、登り切ったかのような清々しい顔で記念撮影ができます(笑)

朽ち果てた山梨百名山標柱が置かれていますが、裏に新標柱が放置されたままになっていました。


山梨百名山の標柱は、風雨に晒されながら年月が経ち、数年前から取り替えているようです。

標柱取り替えは地元の山岳会などが、ボランティアで(もちろん担ぎ上げて)やっています。

このケースはレアであくまで想像でしかないですが、持ってきたはいいけど新標柱の設置までは出来なかったのでしょうか。


さてここで下山してもいいのですが、山百チャレンジとして後から

本当の山頂は行ってないよね

と裏でチクチク言われたくは無いので、本当の山頂へ向かう事にしました!

木賊山、甲武信ヶ岳方向へ約20分。


何てことの無い距離に思えますが、疲れが貯まっている中で、おまけみたいな山頂へ向かうのは結構きついです。

そして道が悪い!


この尾根から木賊山まで抜けたことがありますが、道が明瞭ではなく倒木なども多いので、距離以上にきつく感じるんですよね。

そんなこんなで、おまけの鶏冠山(2,115m)に登頂!

これで「本当の山頂に行ってないんですね」攻撃が僕もできることになりました(笑)


さて山頂にも登れたし、やり残したことは無いのですが残念なのが景色が見れなかった事でしょうか。

とはいえ帰りも行きの岩場を通るので、見えない景色ばかり見ずに気を付けて帰りましょう!


ん?

ん、んん!?

晴れたー!!

嬉しさのあまり鶏冠ポーズで失礼します!🙏


帰路に第二岩峰へ登ったところで、第三岩峰までの連なりが顔を出してくれました

これは上がりましたね~🙌

高度感のある岩場の連続、まさにニワトリのトサカのように連なる岩の屏風。

標高は高くなくとも、威風堂々とした佇まいで、奥秩父のさらに高い山に囲まれている山ながら、この山を見落とすことは無いでしょう。


山梨四天王のなかでも一番好きな山です、また来ます!



鶏冠山 登山まとめ

【鶏冠山 標準コースタイム(目安) 7時間40分】

西沢渓谷入口無料駐車場ー0:45ー西沢渓谷二股橋ー0:20ー鶏冠谷出合ー2:50ー第三岩峰ピークー0:20ー鶏冠山山頂

鶏冠山山頂ー0:20ー第三岩峰ピークー2:00ー鶏冠谷出合ー0:20ー西沢渓谷二股橋ー0:45ー西沢渓谷入口無料駐車場


【アクセス(西沢渓谷入口)】

・車

中央自動車道・勝沼ICから約60分、市営無料駐車場(約60台)

駐車場が満車の場合は、道の駅みとみの北側駐車場(200台)に駐車可能。

紅葉の時期など混雑が予想される時期は、道の駅みとみに停めるのが無難。


・電車/公共交通機関

JR山梨市駅からバスで60分(「西沢渓谷入口」下車)。


【アドバイス】

トイレは西沢渓谷入口と二股橋の間に一か所、水場は鶏冠谷出合から尾根に上がってからは補給することはできない。


まず気を付ける箇所は鶏冠谷出合での渡渉パート。

梅雨前の水量が少ない時期が狙い目だが、前日までに天気によって水量は左右される。

最も安全な策を取るなら、濡れていい靴と靴下を用意して、沢の中に入って歩いて渡る方がいいだろう。

鶏冠谷で濡れた靴と靴下はデポすればよい。


尾根に取り付けば樹林帯の急登が続くが、登山レポ本編にあるように気の抜けない箇所もでてくる。

この区間は帰路、足が疲れて来た時が怖い。

下山もゆっくり時間をかけれるように、早出早着を心掛けたい。


山頂近くの岩尾根パートでは鎖場の連続だが、取り付く前にしっかりと道筋を確認し、一歩一歩慎重に上り下りしていきたい。

第三岩峰の岩壁はクライミング装備が必要となるので、一般登山者は迂回路を進むように。

OUTING PRODUCTS ELK

創業40年。 山梨は甲府市に位置する総合アウトドアショップです。 登山・トレッキング・クライミング・キャンプ・トレイルランニングを中心にアウトドア商品・情報を発信しています。