2021年の登山/山岳向けのテクニカルウェアを振り返ると、ノースフェイスからリリースされた二つの新製品が話題をさらっていった印象があります。
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エクスペディションドライドットジップハイ
エクスペディショングリッドフリースフーディ
ノースフェイスの最高峰ライン"サミットシリーズ"からリリースされたどちらの製品も
リリース当初から大反響で、宣伝する前に売り切れてしまったウェアなんです。
そんな反省を活かすべく、2022SSシーズンがスタートしたばかりの今こそ、改めてこの二つのテクニカルウェアを解説/紹介しようと思い立ちました。
ドライドットシリーズについてはリリース当初から愛用しており、その使用感も忖度無しでお伝えしたいと思います。
このブログを最後までご覧いただければ絶対に欲しくなるので、金欠の方はここで画面をそっ閉じしてくださいね!
序章
「久しぶりに一緒に山に行きましょう!」とスタッフ綾井は中込店長を誘っておいて、二人ともほとんど無言で雪をかき分け進み続ける山行に。
場所は櫛形山の中尾根登山道上。
もともとは阿弥陀岳のバリエーションルートになんて話をしていましたが、昨晩の大雪でビビってしまいラッセルトレーニングに切り替えました。
このラッセル山行において、まさに絶好のフィールドテストとなったのが今回紹介する
エクスペディションドライドットジップハイ(以下ドライドット)とエクスペディショングリッドフリースフーディ(以下グリッドフリース)の二つのテクニカルウェアです。
急登のラッセルハイクアップでは汗が出るほど暑くなり、休憩時には寒さで凍えそうになる、まさにウェアの真価が試されるコンディションでした。
ドライドットは店長が、グリッドフリースはスタッフ綾井が着用したのですが、やっぱり期待通り、いやそれ以上の調子の良さを実感することができましたよ~!
エクスペディションドライドットシリーズについて
※上写真カラーは旧カラーです。
ドライドットは愛用しているジップネックモデルと、クルーモデルの2つがラインナップされています。
どちらもユニセックスモデルですが、女性サイズはWM(ウィメンズのMサイズ)というように用意されてはいます。
ドライドットがなぜここまで人気を博したかというと、やはりこの製品の根幹であるダブルフェイス構造の効果が大きかったからでしょう。
肌面に撥水加工を施したドライ層を用い、表面は汗を素早く拡散し乾燥させる吸水層で構成したダブルフェイス構造。汗をかいても肌面のドライ層からドット上の接結面を通じて、スムーズに生地表面に吸水し移行させて乾燥を促します。
ここでいう肌面のドライ層というのが、分かりやすく言えばファイントラックのドライレイヤーであり、ミレーのドライナミックアンダーなどが代表的な、肌をドライな状態にして汗冷えを防ぐ役割。
ファイントラックのドライレイヤー(旧スキンメッシュ)が発売されて以降、登山者を中心に多くの支持を得てすっかり市民権を獲得したアイテムですよね。
いままでの吸湿速乾だけのベースレイヤー単体だけでは、汗をかいてから乾くまでどうしてもヒヤッとした汗戻りがありました。
どのアクティビティ関わらず今では多くの方が、ドライレイヤーとベースレイヤーをぴったりと重ね着することによって、肌をドライに快適に過ごせるようにしています。
ドライドットの肌面、つまりドライ層は凹凸のあるグリッド状になっています。
肌面にあたる部分がそもそも少なく、これによってサラッとした肌触りを実現していますが、もちろんそれだけでなくその素材自体の吸い上げる力がすごいんです。
上写真のように水滴を落としてみれば、少し分かりにくいですが水滴を弾いているのが分かります。つまり肌面には強力な撥水性があり、まさにドライレイヤーと同じようにかいた汗は瞬時に肌から離れ汗戻りを防ぎます。
もっと分かりやすく水滴を見せたかったのですが、水分を吸い上げる力が強すぎてすぐに表地へと移っていきました。
次の写真は水滴を落とした表面の写真ですが、すぐに表地へ吸収されて拡散していく様子が分かります。
ドライドットの名前の由来となる、ドット状の表地が吸い上げた水分を素早く吸い上げ拡散させて、肌面はドライで表面もすぐに乾く、これこそダブルフェイス構造のもつ大きな特徴です。
ドライドットの使用レビュー
実際の着用感については、ノースフェイスの狙い通り汗冷えを感じさせないドライ感、そしてさらに感動したのは表地の乾きの速さです。
これについては散々ダブルフェイス構造について説明したので省略します。
それ以外にも個人的にお気に入りのポイントが二つあるのでお知らせします。
・しっとりとした肌触りで着心地◎
・絶妙な保温力
しっとりとした肌触りというのが、何とも伝えにくいのですが、、
ドライであること自体が快適性を上げることに直結していますが、ドライドットは着心地を左右する柔らかさであったりドライだけどしっとりとした(そう感じる)肌触りが、お気に入りのポイントなんです。
保温力に関しては分かりやすく言うと、厚みのあるウールベースレイヤーよりは寒いが、ポリエステルの速乾Tシャツよりは温かい。
ダブルフェイス構造による厚み、ドライ層による断熱効果など、様々な要因があると思いますが、結果としていろんな場面で無茶苦茶使いやすい保温力となっています。
基本的にはベースレイヤーとして、一枚目に着ることが最も効果的なウェアですが、夏は二枚目のセカンドレイヤーとしても使いやすいのではないでしょうか。
そう考えるとジップネックモデルが汎用性が高くて、やっぱり個人的にはこっちを推したい。
「重ね着するくらいだったら、二つの効果を持つ一枚をつくる」
レイヤリング(重ね着)はシンプルにしたい人の方が多いはず。
そう考えればとても合理的な考えで、それを実現させて見せたノースフェイスの本気を感じます。
2022年春の新色
この春に入荷したばかりのカラーを最後に紹介させていただきます!
新カラーは写真のタンドリースパイスレッド(TA)と、トランスアンタークティックブルー(TT)の二色。そして定番のブラックカラーになります。
いや~ドライドットでこんなに長くなってしまいましたが、、こっちの紹介もしなければなりません。
エクスペディショングリッドフリースフーディについて
エクスペディショングリッドフリースフーディ(以下 グリッドフリース)は、ずっと欲しい欲しいと思い詰めた挙句、ウィンターシーズンの終わり際に購入することになったフリースです。
早く購入しておけば、あの時もこの時も使っていたのになんて思っちゃってます(笑)
グリッドフリースについても、やはりその根幹となる素材について触れなければなりません。
その素材とはみんな大好きOcta(オクタ)。
オクタとは8本の突起を放射線状に配列したタコ足断面のポリエステル繊維で、従来のポリエステル繊維に比べて吸汗速乾性にすぐれながら超軽量。
またこの特殊な形状が細かな空間をつくり出し、そこに含まれるデッドエアーが遮熱性を高めています。
各アウトドアウェメーカーがこぞってこの素材を使ったテクニカルウェアをリリースしていて、その評判の良さは既に多くのレビューで言われていますね。
僕もOctaを使用したアークテリクスのプロトンFLフーディを愛用していますが、ほんと抜けの良さと適度な保温力があり、秋冬シーズンのアクティブインサレーションとして愛用しています。
オクタは行動着として理想的な素材といえるのではないでしょうか。
単純にOctaを使用すればいいという訳でなく、どういう織り方にするか、表地をや裏地を別素材にするか、フィット感などなど、その製品によって特長は様々で保温力などもかわってきます。
グリッドフリースの表地はフラットに仕上げて、耐摩耗性やレイヤリングのしやすさを向上させています。
あくまで"ミドルレイヤー"、この上にシェルを着ることも考えれば大事なところですよね。
裏面は毛足の長いオクタ糸をグリッド状にかさ高のあるように仕上げて、保温力を高めています。
この毛足の長い裏面が汗の吸い上げ効果も調子が良くて、さらに肌触りもいいものだから、冬ならグリッドフリースをベースレイヤーとして使用することもおすすめですね~。
グリッドフリースの使用レビュー
実際の使用感としては暖かいのに汗抜けがいいところが、やっぱり一番大きな感動ポイントでした。
先述したアークテリクスのプロトンFLは、裏地にメッシュを張ることによって、オクタが剥き出しになっていないものでした。
もちろんそれによる恩恵もあるのですが、グリッドフリースのように剥き出しのオクタを使用すれば、やはり汗抜けと速乾性の点においては突出したものがあります。
他に感じた点はこちらもふたつありまして
・軽さと収納性
・バラクラバになるフードとベンチレーションになるファスナー
冬のシーズンではこの手のウェアをあまり脱いだり着たりすることはないと思いますが、これから温かくなってくれば、その頻度も多くなってくるでしょう。
そんな時にバックパックに収納するわけですが、収納性が高く軽いほど持ち運びは楽になります。
特にフリース製品は毛足の長くて保温性の高いものは、収納スペースを取られます。
グリッドフリースは写真のように一目瞭然で、収納性の高さが見て取れますね。
寒がりな僕は夏でもアルプスの縦走登山で、保温着としてミッドレイヤーとして選ぶだろうなと思いました。
続いてはベンチレーションになるファスナーとバラクラバになるフードについて。
グリッドフリースはタイトながら考え抜かれた立体裁断で、動きにストレスを感じにくいのですが、まさにそのカッティングの良さが随所にいい効果をもたらしています。
バラクラバになるフードについては、この手のフリースではよくあるデザインなんですが、そこにもカッティングの良さが感じられます。
顔にぴったりフィットするフード形状で、首の動きにも追従してくれます。
また顎から首元にかけて沿うような立体裁断のおかげで、ヘルメットバンドなどに干渉せず、つっぱりも感じにくいのは感動しましたね。
実は同様の素材で作られたもう一つの製品に「カールサイドグリッドフーディ」があります。
同じくオクタを採用したフリースフーディなんですが、こちらにはフロントジッパーが無いデザインでした。
対してグリッドフリースの胸元まで空く長めのジッパーは、やはりベンチレーションとしての役割もあるので、個人的にはこっちの方が好みですね。
2022年春の新色
こちらも春の新色が入荷してますので紹介させていただきます!
ブルーウィングティール2(BB)と、タンドリースパイスレッド(TA)の二色が新カラー、そして定番のブラックが継続カラーとなります。
ウィメンズサイズのみなんですが、秋冬カラーのメルドグレイ(MG)とブルーウィングティール(BT)も少し在庫がございます。
こちらは在庫限りですので、予めご了承くださいませ。
フィット感/サイズ感について
サイズ感については少し注意が必要です。
ドライドットに関してはそこまでタイトフィットではなく、ベースレイヤーとしては少しゆったり目。スタッフ綾井(上写真右:身長174cm)はMサイズでちょうどいい感じ。
対してグリッドフリースはタイトなアルパインフィット。スタッフ綾井はLサイズがちょうどいいと感じました。
ここのフィット感は統一してくれた方が、レイヤリングとして分かりやすかったなと思いますね。
レイヤリングについて
どちらもベースレイヤーでありミドルレイヤーにもなり得る汎用性を伝えてきましたが
結局どういう風にレイヤリングをすればいいの!?
ってところが皆さん気になるところではないでしょうか。
発汗量や寒さの感じ方は人それぞれなので、何が正解とは一概には言えませんが、、
冒頭で書いたフィールドテストの際のレイヤリングと、更にはこれからの季節に提案したいレイヤリングを紹介したいと思います。
中込店長はドライドットのジップハイを着用しましたが、(ハードシェルとインサレーションを除く)行動中に着ていた他のウェアは以下の通りです。
①ファイントラック ドライレイヤーベーシック
②エクスペディションドライドットジップハイ
③アークテリクス アプティン ジップ フーディ(廃盤)
店長はドライドットの下に更に同じ効果を持つドライレイヤーを重ねていましたね。
少し無駄な感じがあるかもしれませんが、発汗量の多い場面でもこれなら肌への汗戻りをしっかりと防止できそうです。
上には軽量なフリースフーディを重ねて、保温性を向上させています。
スタッフ綾井はエクスペディショングリッドフリースフーディを着用。(ハードシェルとインサレーションを除く)行動中に着ていた他のウェアは以下の通りです。
①ファイントラック ドライレイヤーウォーム
②THE NORTH FACE エクスペディショングリッドフリースフーディ
③THE NORTH FACE ベントリックスハイブリッドフーディ
同じくドライレイヤーの冬バージョンを下に合わせましたが、山行によってはウールアンダーに変えたり、寒がりなんでドライレイヤー&ウールアンダー&グリッドフリースと細かく重ねる場面もありかなと思います。
上には防風性と保温性を高める、同社の軽量アクティブインサレーションを着ていました。
これから温かくなればドライドットにミッドレイヤーとレインウェアといった3枚重ねで、シンプルにレイヤリングを完成させるのもおすすめだと思いますね~。
そのミッドレイヤーをグリッドフリースにして重ねて使うのも多いにおススメです。
ドライで乾きが早いドライドット、保温力と抜けの良さがあるグリッドフリース、この組み合わせはかなり調子良さそう!
こんな風に細かいようですがあれこれと考えて、ベストなレイヤリングを常に追い求めるのは大事なことだと思います。
快適に登り歩き続けることができるというのは、遭難などの山でのリスクを減らすことに直結します。
今回紹介したレイヤリングは万人にベストな選択という訳ではないですが、現在のテクニカルウェアのラインナップの中では、かなりいい選択だと思いますね。
以上がエクスペディションドライドットジップハイ(クルー)とエクスペディショングリッドフリースフーディの詳細紹介となります。
これらは2021年の話題をさらったテクニカルウェアの新製品で、なおかつ2022年も引き続きレイヤリングの核となりうる存在ではないでしょうか!
ぜひお試しいただき、皆さんのご意見もぜひ店頭で聞かせてもらえると嬉しいです!
最後までご覧いただきありがとうございました!
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